介護施設の入所者の方々に、フラワーアレンジメントのレッスンを始めて十数年になります。
 フラワーアレンジメントの面白さは、同じ花材を使って生けても、誰ひとり同じ仕上りにはならないところです。生けたひとりひとりの個性が光ります。
 こんな事がありました。
 少し気難しそうな男性の入所者がレッスンに来られました。回を重ねるうちに、笑顔で会話がはずむようになってきました。その姿を見た職員が驚かれたのです。
 というのも、その方は誰にも心を開かず口も利かずといった状態だったのです。
 また、こんな事が。眉間にしわを寄せて難しいお顔をされていた方が、お花に触れて数十分もたたないうちに、穏やかな表情に変わられたのです。
 この方たちは、お花の持つパワー、お花に植物に触れることで、本来持っておられた優しい気持ちが溢れてきたのだと思います。
 コロナの頃は、直接レッスンはできませんでした。
 コロナ明けに、久しぶりに皆さんにお会いすると、お花を見ても反応がなく、とても話し好きで明るかった方が、無表情になり、その様子に悲しくなりました。
 しかし、回数を重ねる度に少しずつ表情豊かとなって、明るくなり歌をうたったりと賑やかなレッスンに戻ることが出来ました。これもお花のパワーの表れと感じます。
 病院への通院以外は、ほとんど外出の機会のない入所者の方々に季節の風や香りを、お花を通して感じて貰いたいと思っています。私は、皆さんの笑顔からパワーを貰っています。
y,s

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