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|   | 愛知県小牧市 岩田政成
六月末のことである。妻と下呂温泉に行った帰り道、美濃白川町の道の駅に立ち寄った。道の駅には三台分の身障者用駐車スペースが設けてあったが、両足が痺れ杖歩行をしている私は、その中の一つに車を停め、直ぐ前にある喫茶店で休憩することとした。 喫茶店に入り、駐車した自分の車が見える席に座り飲み物を注文してしばらくした時、私の車の隣(身障者用駐車スペース)に一台のワゴン車が入って来た。その車の動きを見ていると、私の車との間隔をあまりあけずに駐車しそうな様子であった。急いでその車の所に行き、降りてきた若い女性に、少し強い口調で「私も足が悪く、ドアを全開しないと車の乗り降りが出来ないので、もう少し間隔をあけて駐車してもらえませんか」と言ったところ、すんなり頷いて車の間隔をあけてくれた。そこで喫茶店の中に戻り見ていたところ、その女性は車を駐車し直した後、後部扉から車椅子を出し、後部席左側に座っていた若い男性を車椅子に乗せ始めた。男性は女性の夫のようで、歩くことの出来ない重度の身障者のようであったが、女性が男性を思い遣って介護しているのがその動きから察せられた。 女性が車から車椅子を出し始めたとき、私は自分が強い口調で女性に言ったことを後悔した。身障者用の駐車スペースに健常者が平気で駐車していて駐車出来ないことが往々にしてあり、今回も車から降りて来たのが若い女性であったことから、てっきり健常者と早合点した訳である。また、こちらが車に乗り降り出来ないような間隔で駐車してどこかへ行ってしまわれては困ってしまう、という焦りの気持ちもあった。 ところが、女性が乗せていたのは重度の身障者であり、身障者用スペースが空いていない場合、私が自分の車を移動してでも駐車スペースを譲らないと駄目なような人だった訳である。さらに、女性が間隔を詰めて駐車しようとした原因は、その道の駅の身障者用駐車スペースの幅が健常者用駐車スペースの幅と同じ幅しか確保していないためであり、女性は駐車スペースのマーキング通りに駐車しようとしていただけなのである。決して私の車との間隔を詰めようとしたのではなく、身障者用駐車スペースの幅が狭いのである。また、先方も隣の車が杖歩行している者の車だとは思わなかったかもしれない。私が強い口調で言ったのにも拘らず、少しも感情を害するようなこともなく、すんなり頷いてくれたのは、身障者の気持ちを人一倍分かる人だったからと思われる。 喫茶店を出た後、地域の物産を販売している場所を見ているとき、その女性が車椅子を引いている姿を見て、「私よりずっと若いのに気の毒に」と思うとともに、先ほどの強い口調で言ったことを「申し訳なかった」と心の中で詫びた。 優しさに欠けた己の行為のせめてもの罪滅ぼしにと、身障者用駐車スペースの幅を広くしてもらう要望を出そうと、道の駅の責任者らしき人を探したが見当たらず、家に帰ってから白川町役場にメールで要望を出した。「白川町の道の駅の身障者用駐車スペースの幅が狭く、身障者が利用するのは困難であること」、「身障者用駐車スペースは通常、健常者用駐車スペースよりも幅を大きく取られていること」、「身障者が安心して駐車出来るよう駐車スペースの幅を広げて欲しいこと」をメールに記載し送信した。 送信して一週間ほど経った頃、自宅のパソコンにメールの返事が届いていた。 返事は白川町役場の担当の方からであり、中に要望提出に対するお礼と、七月末までに身障者用駐車スペース幅を現状より一メートル程度広げる旨の計画が記載されていた。それを見て、白川町の道の駅を利用する身体の不自由な人が困らないため少しは役立つことが出来た、と思いとても嬉しくなった。 今後も身近な所でこのような動きをして行くとともに、人に求めがちな自分の欠点を無くすよう、また早合点して失敗しないよう、そして苦しい状況においても周囲を思い遣る人間になれるよう努めて行きたい。
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